恐ろしい存在から逃げている時の緊迫感って、きっと今のような状態を言うのかもしれないと俺は悟る。

 しばらくして足が重くなったから俺は立ち止まった。
 必死だったから息は切れるし、汗だくになってしまった。

 恐る恐る後ろを振り返ってみる。
 幸いにも真由の姿はない!

「良かった、いないなー」と安堵する俺。

 本当に非日常的な行動である。

「ただいまー」

 自宅に着いた。

「お帰りー」

 ウチでは母さんが1人、夕食の準備をやっている。

「ハァ…」

 母さんの顔で思わずため息。