「天崎?」

 浦本が話しをしたいから院内の面会室へ行こうと久保が声をかけて来た。

「真由、早く目を覚ましてくれよ」

 俺はこう真由に告げると部屋を出ようとした。

 不思議な事が起きたのはこの直後だ。

 真由の右手を握っていたのを離した時、右手が俺の手首をつかんだのだ。
 右手は手首から手のひらに移動してギュッと握り始める。
 驚く俺。

「ねーねー! ちょっと!」

 日比野嬢が久保や新島さん、浦本を呼び止めた。

「あー!」

 皆が注目し始める。うなずく久保。