「弱気にならないで。嫌われてもイイから行ってみようと言う気持ちを奮い立たせようよ。勇気を持って」

「勇気を持ってって言われてもねー」と言って俺は手で自分の頭を掻く。

「だからと言って、このまま何もしなかったら状況は変わらないよ?」

 俺と真由、それぞれの思いがすれ違いのままで何の進展もない。
 ただ漠然と時間が過ぎて行くだけで、そのウチに距離は大きく離れて行く。

 気が付いたら時は既に遅しで、相手はもう手の届く所にいなくなっていた。
 後に残るのは後悔の念だけだろう。
 俺自身がそれでもイイって言うんだったら、それまで。

 …凛が言いたい事はこれだ。

「そんな状況なんて、望みもしないな」

「だーったら!」