無表情でスマホを拾う私。
 プラスチック製の安物ケースの一部が欠けてしまったけれど、本体そのものには異常はなかった。
 画面も正常に出て来る。

 もう一度、LINEを開いてみる。
 画像は残っている。

 気持ちを落ち着かせてもう一度…。
 私は画面にタッチした時に指を止めた。

 画像に引き寄せられるような感覚を覚えたのだ。
 私の視線は天崎くんに向けられ、そのまま釘付けとなった。

「てん…ざき…くん。てんざき…くん」とまあブツブツと、独り言を言い始める。

 てんざき…くん。


 てんざき…くん


 てん…ざき…くん…