とうとう最終日になった。明日には、叔父と叔母が帰国する。

「どうした? なんか元気ないな」靭也は夏瑛の顔をのぞき込んで問いかける。

「なんでもない……」

 靭にいちゃんとこうして一緒にいられなくなるのが嫌なの、と喉まで出かかる声を必死に抑えた。

 靭也に「妹」とはっきり宣言されてから、夏瑛は自分の想いを気取られないように、細心の注意を払って靭也に接していた。

 気持ちが溢れだしてふたりの関係が気まずくなってしまうより、靭也への想いは胸の底にしまい込んで今までのように親しくすることを選ぼうと。

 今日も靭也は自作に取り組んでいる。
 
 そろそろ完成に近づいているようで、追い込みで集中力が増している。