あっという間に食べ終わった靭也が夏瑛の横にしゃがんで、尖った顎先を撫でながら、夏瑛の描いたビール瓶をじっと見つめている。

 うーん、また、だめって言われるのかな、と身構えていると

「夏瑛は飲み込みが早いな。教えがいがある」

 そう言われ、子どものときみたいに、いきなり髪をくしゃっと撫でられた。

「先生が帰ってきたら、びっくりするよ。上手になったって」

「靭にいちゃんの教え方がうまいからだよ」

 すぐ目の前に靭也の顔がある。

 微笑んで少し口角があがっている薄い唇。

 優しく見つめるセピア色の瞳。

 目が離せない。

 どうしよう。

 好きな人にこんなことをされては、平静でいられなくなる。