課題に与えられたビール瓶を描いていると、冷たいものをいきなり首筋に当てられた。

「ひゃぁ」

 情けない声をあげて後ろを振りかえると、靭也が笑いながら立っている。
「もお、心臓止まるかと思った」

「ごめん、ごめん。あんまり一生懸命なんで、ちょっとふざけたくなった」

「ひどいよー」

「だいぶ根つめてたろう。ちょっと休憩すれば」と言って、靭也は冷たいものの正体、アイスキャンディーを渡してくれた。

「……ありがとう」

 美味しい! 甘酸っぱい味のアイスがのどを通っていく気持ちよさを覚えてはじめて、のどが乾いていたことに気づいた。

 それほど夢中で描いていたらしい。