「桜さん、俺
仕事辞めたから」

夜中に帰ってきた桜さんに
俺が呟いた

まだスーツで
ピアスを付け替えていた
桜さんの動きが止まった

「なんで?」

「いろいろあったから」

「そう
次の仕事は決まってるの?」

「決まってない
明日から職安に行ってみる」

「見つからなかったら
新しいお店で働かしてあげるわ」

「ありがとう
店の準備は進んでる?」

「ええ、順調よ
明後日に、業者にお金を振り込めば
近々、オープンできると
思うわ」

「そう、良かったね」

桜さんに
深く聞きこまれなくて良かった

俺は布団に頭を入れると
瞼を閉じた