スミレが好きだと言っておきながら

憎んでいる桜さんのところへ
俺が
迷わずに行った

行くと決めておきながら

スミレを抱いていたことも
知っているだろうから

軽蔑して
怒っているのかもしれない

怒りを通り越して
呆れていたりして

「マコは全然帰ってこないのか?」

「うん
だから、お弁当も渡せてない

いつも無駄になるの」

「わかった
話してみるよ」

「ありがとう」

「そろそろ帰るよ」

「うん」

俺は
スミレのベッドから出た

スーツに袖を通すと
寂しそうに横になっている
スミレにキスをした

「また来るよ」

「うん」