じゃ、じゃあ
「な、名前」
「名前?」
「な、名前で呼んで欲しい…です」
実は結構前から気にしてた
大体の女の子のことを下の名前で呼ぶ真田くん は私の事はいつまで経っても北野なんです
「な、まえ…」
ぽかんとした顔を向けていた真田くんはプッと吹き出した
「そんな事でいいの?」
そ、そんなことって…
「わ、私にとっては結構重要なの!
だって真田くん他の女の子大体下の名前だし…」
ぶつぶつと文句を言っていると
「…やきもち?」
は、はぁ!?
「そ、そそそそんなんじゃ!!」
ないと言い切れない
「…はぁーー!」
うわっ!
なに!?
「無理、かわいすぎ」
え、ええー
「いいよ。けい…」
……ドキドキ
……?
「真田くん?」
「え、いやっ」
あれ、真田くん
「顔、赤くない?」
「…う…し、自然現象」
なっ!!
そ、そんな顔されるとこっちまで自然現象が…
「やばい、思ったよりキツいかも」
え、
「めっちゃドキドキする…名前で呼ぶの」
!
「わ、私は真田くんって言うだけでもドキドキするけどね」
……
ん?
待てよ、
今私とんでもないこと言わなかった?
「あ!今のやっぱなし…」
「圭花、」
!!
私の両手を掴み、それと同時に合わさる唇
「…圭花…好き」
あああああ
自然現象がやばいいいいい
「いつか、俺のことも聡志って呼べよ?」
うう…
この人には…
敵わない
後日ネックレスをもらいました⭐︎
真田くんとしっかりお付き合いを始めてもうすぐ2ヶ月
お恥ずかしがら仲良くやらせていただいてます
ドゥフフ
「北野」
あ
「片桐くん」
片桐くんとは我が学級委員長である
黒髪に白い肌にインテリ系黒縁メガネのイケメン
女の子からもかなりの人気を誇る
真田くんのおかげでその影は薄れているけれど、、
「文化祭、頑張ろうな」
「おー!」
片桐くんと私は文化祭実行委員になった!
まあ正確にはやらされた
ホームルームの時間に爆睡してたら先生に指名されてしまった
それから片桐くんは助けてくれるみたいに俺がやりますって言ってくれた
はぁ何と情けない
「多分いきなり何がやりたいかって聞いても意見がばらけると思うからいくつかこっちで候補をあげよう」
「なるほど!いいねそれ!」
今日は放課後に残って会議中である⭐︎
「北野は何やりたい?」
「んー…喫茶店とか王道もいいけど、ダンスとか演劇とかステージ使うのもやってみたいなーって思う!」
「ああー劇かぁいいね。北野得意そう笑」
「ええー!そうかなぁ」
思わず照れて笑う
できる?私ロミオーってできる?
「ダンスもいいね。劇や喫茶店よりはるかに予算を抑えられる。クラスTシャツとか作るんだったらダンスの方がいいね」
おお…
「すごいね片桐くん。なんか…さすがっていうかしっかりしてるね。すごく頼りになるよ」
「そう?」
「うん!私も頑張るよ!片桐くんに負けないように!」
「…ふふ。期待してるよ」
それからしばらく毎日のように放課後集まった
そのせいで真田くんとはなかなか一緒に帰れない
「圭花ぁー今日も会議なの?」
「うん」
「ったくそんなに何喋ってんだよ」
「文化祭のことだよ?」
「んー…それはそうなんだけどさ」
?
いつもよりぎこちない表情の真田くん
珍しい
「片桐と2人?」
「うん」
「…ふーん」
?
「あ、いたいた、北野」
「片桐くん」
「今日放課後教室使えないらしいから喫茶店かどっかでもいい?」
あ、そうなの?
「ちょっと待てよ片桐」
?
「真田くん?」
「流石にそれはまずいんじゃない?」
にっこりと貼り付けられたように笑って片桐くんを見てる
「まずい?真田に何か不都合でも?」
…あれ、片桐くんの笑顔もだいぶ不自然だな
「えー?知ってるよね?圭花、俺のだけど」
「だからなんだよ。俺は純粋に実行委員としての話し合いを」
「それ、毎日やんなきゃなんないの?」
え?
「何話し込んでんのか知らないけどさ、こんなに毎日毎日やるべきもん?本当にちゃんとやってんの?」
な、何を…
「真田とは違って真面目だからね。そういうことはちゃんとやるよ」
「俺はそうは思わないね。いくら実行委員だからって流石にやりすぎでしょ。それともまだ話まとまらないくらい圭花と相性が悪いの?」
…
「真田くん!!」
私の声にビクッと肩を揺らした
「何をそんなに怒ってるのか知らないけど片桐くんを馬鹿にしないで。とても頑張ってるの」
私にしては落ち着いた冷静な声だったと思う
「…行こう。片桐くん」
「北野」
私を追いかけてきたのは片桐くんだけだった
いくら真田くんでもあれはよくない
私はともかく、片桐くんを悪く言わないでほしい
だって頑張ってくれてるし、頼りになるし
相性が悪いことなんてない
「俺もそう思うよ」
…え?
「声に出てたよ全部」
え
「そんなことある?」
「それも」
はっ…
やってしまった
「俺も…北野とは相性悪いなんて思わないよ」
おう…片桐くん
「よかったの?真田、彼氏なんでしょ」
「彼氏かどうかなんて関係ないよ。頑張ってる人を馬鹿にするのだけは許せないんだ」
「…だったら俺も。真田は許せないかな」
え?
片桐くんを見ると眼鏡の向こうの切れ長の目が私を捉えていた
「真田に認められようと頑張ってた北野をずっと見てたから」
…はい?
「いや、ごめん言い方きもかったね。
ベタだけど、真田やめて俺にしな?」
…これは…おそらく告白というもの…
…
…かるっ!
えっ!軽くない?
下手したら真田くんより軽いぞこの人
「勘違いしないでよ?俺はちゃんと北野が好きだから言ってんだよ?」
あ、心読まれてたかも
「絶対真田なんかよりも俺の方がいいと思うよ?」
自分で言っちゃう?
「ねぇ」
わ…
ぐんと距離を縮められて思わず後退りした
そっと手が触れる
「北野」
あ、これ…もしかしなくても…やばいや…つ
「圭花」
!
「真田くん!?」
どこからか現れた真田くんが私の手を取った
「勘違いするなよ?たまたま見かけただけだから」
そんなまさか
「真田…なんの用?今一世一代の告白中なんだけど?」
いや、一世一代にしたら軽すぎるでしょ
「……ごめん」
……はっ!?
え、いま…あ、謝ったああああ!?
流石にそうくると思ってなかったのか片桐くんも固まっている
「ごめん片桐…圭花は…だめ」
は?
ぐんっ!
わっ!
すごい勢いで引っ張られて片桐くんが小さくなっていく
さ、さ、真田くん!?
えっとこれ…
どういう状況?
ズカズカと進み、人があんまりいない道に出た
ピタリと足が止まる
「…真田くん?」
ぐんっ!
「わっ!」
引っ張られて私の体は真田くんの腕の中にすっぽり
「ごめん」
「え?」
「俺…むしゃくしゃして…片桐と圭花が一緒にいるのが嫌で…こんなの俺がいう資格なんてないけど。マジで胃が潰れるくらいイライラしてた。」
…そ、それは
「こんなことで嫉妬してマジかっこ悪りぃ…」
「…真田くん」
私は真田くんの腕から離れ、しっかり目を見た
「まず、どんな事情があれども片桐くんを悪くいったことはダメだよ。ちゃんと謝ってね」
しゅんと背中を丸くする真田くん
「それから…私もごめんね。真田くんの気持ちもうちょっと考えるべきだったかも」
よく考えれば2人で喫茶店なんて…結構無神経だったかもな
「あ、あと最後に…心配しなくても私の一番はずっと真田くんだよ!」
これが一番大事!
「…圭花。俺…こんな気持ちになるの初めてなんだよ。自分から好きになったのも圭花が初めてで、他の男に取られるんじゃないかってハラハラするのもお前だけ
俺やっぱお前のことどうしようもなく好き」
なっなんてことを平気で言うんだ
「私だって…真田くんに負けないくらい好き!!」
今度は私から真田くんに抱きついた
「実行委員頑張って」
「うん!」
「片桐には気をつけて」
「ふふ…うん!」
「それから、いい加減俺のこと名前で呼べ」
「う…」
それからしばらく片桐くんに対する真田くんの警戒が強くなったのは言うまでもない。