ここは自動車学校。多くの人が免許を取るために、今日も勉強に励んでいる。

そんな自動車学校には、教官たちが頭を悩ませている生徒がいた。

「あの子、仮免許取れるんですかね？」

「あの子の運転、めちゃくちゃ怖いんですけど……」

教官たちにそんな話をされているなど、生徒は知らないだろう。

「こんにちは〜！！」

自動車学校の自動ドアが開き、学校帰りの生徒が大勢やってくる。その中に、その例の生徒もいた。友達数人とはしゃぎながらやって来る。

その子を見て、教官数人はため息をついたのだった。



「……マジか」

自動車学校の教官である太宰旬（ださいしゅん）は、その生徒が持って来た模擬の答案用紙に丸をつけていき、思わず声を漏らしてしまった。その生徒は赤点だ。こんなにひどい点を取る生徒は、滅多にいないだろう。

「先生、何か問題ありますか〜？」

そう笑っているのは、紺のブレザーにチェックのスカートの女子生徒だ。この生徒は、多くの教官が頭を悩ませている種でもある。名前は、志賀美竜（しがみりゅう）だ。