なんて思ったのも束の間

再びインターフォンが鳴り始め、これはもう
悪夢のような時間だ。

一度応対してしまっているせいで

居留守を使うこともできないわけであり

あの時の自分を恨むしかないこの状況だ。


このままでは、きっと

出るまでインターフォンを鳴らし続けるだろう。


祐二に電話をしてみるのが一番だけど・・・


そうだ、聞かないことは恥だって
入社した時に、元山先輩が言ってた。


分からないままの自己判断が一番迷惑だとも言ってた。


まぁ・・・今の状況と会社での事を同じように
こじつけてしまう自分もどうかと思うけど。


「はい」

「もしもし?仕事中にごめんね」

「何かあった?」

会社にいるのか、話し方がいつもと違い
変に緊張してしまう。

「元カノ様がずっとインターフォン鳴らしてるんだけど、出た方がいい?」

「あー・・・居留守使えない?」

「一度、応対しちゃって・・」

「ちょっと電話してみるから、またかけ直す」

「あ、はい」


通話を切った後から、インターフォンは鳴らなくなったけど

今、電話中なんだろうか。

何話してるんだろう。

自分で祐二に相談したくせに、元カノ様と今話してるんだと思うと

変な不安に襲われてしまう。