引きずるような足取りで
ビジネスホテルを出ながら
携帯を眺める私。

泊めてくれるような人・・・

ダメだ。いるはずない。

職場でも表面の付き合いだし
友達なんて疎遠もいいとこだし

彼氏なんて、もう中学以来いないし。

あー・・・・

携帯を握りしめながら
その場に、大きなため息をつきながら
しゃがみこんだ。

「おい、バカ女」

そんな言葉と同時に
髪の毛をグシャと後ろから撫でるような仕草に
思わず顔を上げると

「スーツ男・・・」

「何だ、そのあだ名」

そう言いながら笑っている
さっきのスーツ男の姿がある。