「真山さん、お昼休憩とってないんだから
もう上がってもいいからね」

「え?いいんですか?」

「いいよー。お疲れさま」

「ありがとうございます。お疲れ様でした!」

元山先輩の計らいで

1時間早く仕事が終わり、会社を出た所で携帯を確認すると

11時に着信が入っている。

という事は、認めたくなくても

あれは祐二に間違いないんだよね。

女性の方もスーツだったから、きっと会社の人なんだろうけど

2人でお昼にごはん行く関係って普通なんだろうか。


たしかに、不動産屋さんっていうと接客業だから
交代制でごはんなのかもしれないけど・・


ウダウダ考えながらも、家に帰ると


「お、早いな?」


ソファーに座り、テレビを観ていた祐二が
私の方に顔を向けた。


昨夜、嫌な言い方してしまった私に

何も変わらず接してくれるのは

優しさなんだろうか、それとも興味がないから
どうでもいいと思ってるだけなんだろうか。


「ただいま。今日は1時間早く上がれたの。
だから、何食べたいか聞いてから買い物行こうかと思って」

「毎日1時間早く上がれたらいいのにな。はは」

「何か食べたいのある?」

「そうだなぁ・・肉食いてぇかも。だわ。
焼き肉行こうぜ」

「焼き肉!?」

「よし、行くぞ。着替えなくていいのか?」

「え、ちょっと待って。着替えてくるから!」

慌てて部屋に行き、その辺にある服に着替えると

「おせぇよ」

玄関でもう待ち構えているけど

多分、2分も経ってないと思うんだけど・・・