結局、私が朝出勤する時にも
祐二は帰って来てなくて

仕事が終わってから携帯を見てみるけれど

着信が1件もないままだ。


仕事行く時はワン切り。

それが当たり前になってきてた頃だっただけに

私と祐二の、薄い関係性が

浮き彫りになっているのが今はっきりと分かる。


友達ならば、いろんな悩みも打ち明けられる。

電話だってできる。


友達にすらなれていない私は

悩みを聞き出すことも

簡単に電話をすることもできない。

電話を握りしめながら

キュッと唇を噛み締めた。

考えたって仕方ない、そんなの分かってる。


「真山さん?こんなとこで立ち止まってどうしたんですか?」


後ろから声を掛けられ、はっと我に返った。