結局、祐二に何も聞けないまま
数日が経過中である。


「ちひろ、お前の部屋で何か鳴ってるぞ」


土曜日の昼下がり、ベランダに洗濯物を干している私にそんな事を言ってきた。


何か鳴ってるって


「電話?」


「分かんないけど、何か聞こえる」


干しかけの洗濯物をそのまま置いて

部屋へ携帯を取りに行くと

たしかに

不在着信の表示だ。


・・・お兄ちゃんだ。珍しい。


家を出てから一度も連絡してきてないのに
わざわざ電話してくるなんてどうしたんだろう。


不思議に思いながら、通話ボタンを押し
そのままベランダに洗濯物を干しに戻ると


「あれ?」

祐二が続きを干してくれている。

「もう終わるからいいぞ」

「うん、ありがと」


なんて会話をしている時に

「もしもーし」

お兄ちゃんの声が電話口から聞こえる。