「真山さん、お疲れさま。
また来週ね」

「お疲れ様でした。失礼しまーす」

PM6時、ようやく仕事が終わり
家路へと着く。

私、真山ちひろ20歳。

両親は、女手一つで育ててくれた母親が昨年亡くなり
兄と仲良くアパートでの2人暮らしだ。

兄は、私が寂しくないようにと
転勤が多い職種から転職してくれたほど妹思い。
家事だって、分担してくれて
誕生日もケーキ買ってきてくれたり
ケンカなんて全然しない。

あれ?珍しく私より早く帰って来てるじゃん。

アパートの窓から漏れる灯りを見て
玄関の鍵を開け
リビングに入ると

「ちひろ、悪いんだけど出て行ってくんない?」

「は・・・・?」

ただいまを言う前に
顔を合わせるなり
そんな言葉が飛び込んできた。