「なんでそんな顔をするのよ、あなたが。感情移入激しすぎよ。ほら、私のことなんていいから君の幸せな話を聞かせてちょうだいよ。」


ね？と笑ってみせる。嘘だよ、聞きたくないよ。でも君が痛そうな顔をするくらいなら、それは私が引き受けるから。君は笑っていて。幸せだとはにかんで。あなたが部活の時に見せる幸せそうな笑顔を。


「俺、この前ずっと好きだった人に告白されたんです……。それで付き合うことに、なりました。」

「良かったじゃん！素敵なことよ。おめでとう！！」


「……、っ、……。」


パクパクと言い出そうとしては諦めているような表情が面白い。だけど私はそんな顔をさせたいわけじゃないから。

「……もう、帰ろっか。」

微笑んで何も進んでいなかったバインダーを閉じる。ああ、体操服のままだからこの後着替えなくては。家に帰ってからまた記録をまとめ直そう。

さっき話したこととは関係ないことを考えていなければ今にも泣き出してしまいそうだ。