帰り道、暗い夜道をお兄ちゃんと手を繋いで歩いていた。
すると、ふと、私はさっきのお母さんのことを思い出した。

「ねえ、お兄ちゃん。」

「ん?」

「さっきね、DVDの棚の奥から知らない人の卒業証書が出てきたの。年的にお兄ちゃんと同じくらいだと思うんだけど…」

「それで?」

「お母さんに見せたらね、すっごく青ざめた表情でバッて取られちゃった。…お母さんと何かあった人なのかなぁ…あれの持ち主。」

ふうん。と、お兄ちゃんは、表情を変えずに相槌を打つ。

「サユ、それで、名前はなんて書いてたの?」

「えーと…詳しくは覚えてないけど…宮川さん…だったかな?」

私が思い出しながらそう答えると、お兄ちゃんは突然ピタッと足を止めた。

「お、お兄ちゃん…?」

私が不思議そうな顔でお兄ちゃんを見つめると、お兄ちゃんは私の目を真っ直ぐに見つめた。