ホームズの子孫はいつでも私を見つける

廃工場は、昼間でも夜でも不気味だ。私はびくびくと怯えながら中へと入る。当然、中は真っ暗だ。

「ルパンさん?いらっしゃいますか?」

スマホのライトをつけ、私は工場内を照らす。しかし、中には誰もいなさそうだ。静まり返っている。時間はぴったり十時なのに……。

私がどうしようかと考えたその時、背後から何者かに腕を掴まれ、そのまま体を抱きすくめられた。

「ひっ!!」

私は悲鳴を上げ、何者かから逃れようとする。すると「和香」と抱きすくめている人物と、私の前方から声がした。その声は……。

「ホームズさん?ワトソン先生?」

私の声が震える。暗闇の中から、懐中電灯を持ったワトソン先生が現れた。茶色の瞳と髪が懐かしくて、でも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

「和香」

後ろを見れば、黒髪に緑の瞳が私を見ている。ホームズさんが私を捕らえていた。二人の顔はとても心配げで、私はうつむいてしまう。

「どうして、私の居場所がわかったんですか?」
私が訊ねると、ホームズさんが「簡単だ」と言い話してくれた。

「イギリスにいれば、僕やワトソンにすぐに見つかると君はよく知っている。だから、海外へ行ったとすぐに判断した。空港に問い合わせて、君がどこに出国したのかはすぐにわかったよ。日本に行かなかったのは、おそらく君の幼なじみがこの国にいたからじゃないのか?」

次に、ワトソン先生が言う。

「フランスのパリに和香が行ったとわかったけど、フランスのあちこちに行ってたみたいでどこにいるのかはなかなかわからなかった。でも、そんな時にアルセーヌ・ルパンが居場所を教えてくれたんだ。ホームズに電話をかけてね」

だから、三人は話し合って私を捕まえた。そして今に至る。項垂れた私を、ホームズさんがさっきよりも強く抱きすくめる。

「なぜ、僕たちから逃げたんだ?」

「僕たち、すごく心配したんだよ。ルパンから聞いたけど、和香は誘拐されそうになったって……。本当なの?」
二人の声には、怒りが含まれている。心配をかけさせてしまったんだ。私の頰に涙が伝う。

「……ごめんなさい……。私がいると迷惑になると思ったんです」

私は正直に全てを話した。でも、本当はこうして話したかったことなども全部。泣きながら話しているから、時々英語がわからなくなって、詰まってしまって……。それでも、二人は最後まで聴いてくれた。

「本当に……ごめんなさい……」

私が顔を上げると、目の前にいるワトソン先生の顔は真っ赤になっていた。ホームズさんを見ても同じように真っ赤に。何で?

「全く……怒りが飛んじゃったよ!」

ワトソン先生が言い、ホームズさんも頷いている。素直に気持ちを言っただけなんだけど……。

「和香」

ホームズさんは私を離し、私の目をまっすぐに見つめる。その目は真剣で、とても綺麗で、そらすことができない。

「僕たちが君にモリアーティのことを隠してしまったことは、本当にすまない。君がそこまで考えていたとは知らなかった。……だからこそ、一緒にロンドンへ帰ってくれないか?和香をちゃんと守りたいんだ」
「必ず、モリアーティは僕らが捕まえる。和香をもう不安にはさせないよ!だから、一緒に帰ろう?」

ワトソン先生も私を見つめる。二人の目はとても優しくて、温かい。

私の目から涙がまたこぼれた。二人が私を見つけてくれたことが嬉しくて、幸せで……。

「……はい」

私がそう言うと、二人は私を優しく抱きしめてくれた。フランスでの怖い思い出も、どうでもよくなってくる。何だか、不思議。朝は守られる側なんてと思っていたのに、今は守られることが幸せに感じてる。

私の心は、もう迷ったりしない。ホームズさんとワトソン先生を信じて、守ってもらう。

私の心は、二人の強い意志によって捕らえられたのだから。

初めましての方、初めまして!お久しぶりの方、こんにちは!浅葱美空です。

お正月休みで車校がないため、まったり小説が書けて楽しいです。すき焼きを食べたり、色々買い物に行ったり、最後の冬休みを満喫していると思います笑。

今回は、ホームズの子孫シリーズを書きました。ホームズさんとワトソン先生の登場は少しでしたが……笑。でも、ルパンのかっこいいところを書けたので満足しています!

園子ちゃんと二人で色々フランスを旅にしているところを書いていて、フランスに行ってみたくなりました笑。海外に行ってみたい!!

次回で、ホームズの子孫シリーズは最終回となります!ホームズが大好きなので、書いていて本当に楽しかったのですが、次で最後です。

読んでいただき、ありがとうございました。また次の作品でお会いしましょう!

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