「だ~か~ら~。自分勝手なのよ!」

私はジョッキを、テーブルに強く置いた。

「荒れてますね、お姉さん。」

「荒れない訳がない!」


仕事が終わり、絹花と飲みに来た居酒屋で。

この前の会社前事件の事を、思い出した。

たぶん、絹花の顔を見たからだと思う。


「仕事の上司?大変だね。」

「そうだよ。こっちの身にもなれって言うの!」


絹花には、間野さんだって言う事は、教えていない。

他の上司だって、言っている。

間野さんも言ってたけど、絹花は稀にみるジェラシリスト。

一旦嫉妬すると、被害妄想が爆発する。

だから、まかり間違っても、間野さんと仲がいいだなんて、口が割けても言えない。

ん?

仲がいいわけでもないか。


結局、間野さんはあの後、車で送ってくれて、相手の店にはなんとか午前中に間に合った。

何度もお礼とお詫びを間野さんにしたけれど、往復する間、一回も口をきいてくれなかった。