みんな優しくて、下町はやっぱり大好きだ。



「別人みたい…」

「こっちの俺も本当の俺」

「よくわかりません…」

「ほら、ここだ」

「ハンナの子豚屋?」

「あぁ」



中に入れば久しぶりに見る顔。



俺に気付き、バタバタと駆け寄ってきた。



「グレンっ‼︎あんたねぇ、たまには顔出しなさいな‼︎」

「忙しいんだ。ごめんね、ハンナさん」

「元気にしてるんだね。おや?そちらはまさか…」

「結婚したから連れてきた。俺の嫁のアリス」

「まぁまぁ‼︎なんて可愛らしい‼︎貴族の娘さんみたいじゃないか‼︎そちらは…たまにグレンと来ていた二枚目くんじゃないの‼︎懐かしいわ〜」



ハンナさんの店には、毎日のように通ったのだ。



ここの料理は最高にうまい。



「いつもの」

「あいよ」



懐かしい丸いテーブルも、窓際にあるなにも植えられていない植木鉢も。



「変わってない…」

「ここがお好きだったんですね、でんっ…グレン」

「あぁ、好きだ」



また来れてよかった。