次の日は久しぶりにカツラをかぶり、庶民の服を着て、ジェードは獣人だとバレないように帽子をかぶって尻尾も隠す。



アリスの長い髪はひとつに束ねただけで、茶色いスカートに、シンプルなシャツを着ていた。



ヒナも似たような格好をしていて、ジェードの馬に乗る予定。



「馬車ではないのですか…?」

「殿下は乗り物が極度に苦手なのですよ」

「そう、なの…?私、乗れるの…かしら…?」



乗ったことのない馬に、少し表情が強張っている。



俺が手を出し、ジェードが下からアリスを持ち上げた。



「わっ‼︎」

「あまり力を入れなくていい。俺に任せておけ」

「こ、怖い…」

「その恐怖心がコイツにも伝わってしまう。怖がらなくていい」

「わかり、ました…」



ゆっくり走り出し、徐々に速度を上げた。



怖がっていたアリスも、いつの間にか目を輝かせている。



「気持ちいい‼︎」

「そうだろ?では、王都を抜けるぞ」

「はいっ‼︎」



裏道を通り、王都を抜ける。