「響……」

頭を撫でてくれた。

なんて安心する手なんだろう。

「俺の女に気安く触んな」

「でもさ、その女金目当てだろ?俺でもいいじゃん」

「よくねぇよ。それに金目当てなんかじゃねぇ。こいつのこと知らないくせに分かったようなこと言うな」

響はあたしの腕を引っ張って歩いていった。

「ちょっと響!どこ行くの?」

そんなあたしを完全に無視して、月明かりが照らす部屋に入った。

ドアが閉まったと思うと、思いっきりキスされた。

「……んっ」

「ナンパされやがって」

「……っ」

響の唇から解放されると思いっきり言ってやった。

「響だって冷泉さんとキスしたくせに!!」

「あれは不可抗力だ!望んでねぇよ」

「……本当は冷泉さんが好きなんでしょ?」

「俺はお前以外、キスしたいなんて思わねぇよ」

ずるい。

好きでもないくせに、意地悪のくせにそんなこと言ってくるなんて。