あたしはお手洗いに行くという設定で響のもとを離れた。

なんかよく分からない話をしてるし。

廊下を歩いていると、右京くんに会った。

あれ以来、久しぶりに会うな。

「ドレス、すごく似合ってるよ」

「ありがとう」

「藤堂の幼なじみ見たでしょ?」

「うん……」

まさかあんな可愛い人だとは思わなかった。

綺麗な黒髪、目が大きくて、男を引き寄せるような色気を持っている。

しかも響のファーストキスの相手。

「僕のところに来る気になった?」

「ごめんなさい。やっぱりあたしは響がいいの」

「知ってるよ」

右京くんは意味ありげに笑ってから、行ってしまった。