弾き始めると、世界が響のものになったような気がした。

吸い込まれそうなぐらいカッコよくて。

でも、綺麗で。

それでいて、優しくて。

なんとも言えない感情に戸惑った。

演奏中に響と目があった。

響はばっちりウィンクしてきて、息が出来なくなった。

あたし、響に惹かれてるんだ。

響のこと好きなんだ。

そう感じた。

「どうだった?」

「……すごくカッコよかった」

響の目が見れない。

やっと自分の気持ちが分かったから。