「私、香田さんが好きなんです！

今月売り上げトップをとったら私とデートしてください！

一度だけ…。

一度だけでいいんです…

それであきらめますからお願いします！｣

「はぁ！？

そんなのダメに決まってるだろ！｣

冷たい目を向けた俺に、浜谷はすがるようにもう一度頭を下げた。

「…お願いします！

私…香田さんにもう一度会いたくて…YAMASE に入社したんです。

覚えてませんか？

二年程前に、道端でパンクして困っていたらタイヤ交換手伝ってくれて。

その時は暗くて顔がよく見えなかったんですけどツナギに入った名前を私確認して…。

そのあと探したんです。

香田さんのこと…｣

「は？｣

いや…そんな記憶俺にはない。

タイヤ交換なんて明莉の車以外、仕事以外でした覚えなんてない。