帰宅して壁に張ってあるカレンダーをごみ箱に捨てた。

指折り数えていた結婚式。

「お母さん…ごめんね。

もう蓮司のこと紹介できなくなっちゃった…」

溢れそうな涙をぐっと堪えて我慢する。

今はまだ泣いちゃいけない。

泣くのは全てが終わってから。

朝陽さんの涙を見なければこんなこと決めたりはしなかった。

「和にぃにだから反対したんだっておこられちゃうな。

明莉はバカでお人好しだって私のために泣いちゃうかな」

家族の顔を順番に思い出して、片瀬さんの奥さんのなつさんにメールを打つ。

『夜遅くになるかもしれませんが今夜泊めていただけませんか?
急なお願いでごめんなさい』と。