明莉は出勤まで俺と視線を合わせないように、洗濯したり、食器を洗ったり、明らかに避けられていて、朝の時間のない中で言い訳や昨日のことを話す時間もなくて

「明莉、夜帰宅したら話がある」

背中に話しかけると

「…うん…わかった」

一言そう言って

「急ぎの仕事あるから先に行くね。
鍵、これで閉めてきて」

目も合わせない明莉にどう説明すればわかってもらえるのか、いや、わかってもらえないかもしれないと不安がよぎる。


その日帰宅した俺が目にしたのは、
殺風景になってしまったリビングの壁。

そこに今朝まであったカレンダーが姿を消していて、心臓が止まりそうになった。