「…そう。

蓮司くん、ごめんなさいね。
身に覚えのないことで酷いことを言ってしまって」

「いえ…」

「今日は仕事中に本当にどうもありがとう。
それから家のことに巻き込んでごめんなさいね。

朝陽、お見合いがいやなら嘘なんてつかずにそう言いなさい。

お父さんも私も少し焦りすぎたわね。

ごめんね、朝陽」

朝陽はお母さんの言葉に少し目を潤ませて小さく首を何度もふった。

「それじゃお腹も空いたし、ちょっと遅いけど夕飯にしましょう。

蓮司くん、迷惑かけたお詫びに食べていってね。

朝陽が会社を辞めても、これからも友人として支えていってちょうだいね」

夕飯をご馳走になりその後、俺と朝陽は、朝陽の車をとりに会社の駐車場に向かった。