「愛美、携帯使っていい場所に案内してくれないか」

「…こっち…。
ねぇ、蓮どういうこと?何やってるのいったい!」

愛美も怒りに肩を震わせていた。

同情とか支えてやりたかったとか、
言い訳なんてできやしない。

あれだけわざわさ自ら距離をとっていた朝陽に、俺は自分から距離をつめた。

"友達だ" そんな言葉は通用しないくらい弱りきった朝陽の心に近づき寄り添ってしまった。

「黙ってないで何か言ってよ!
言い訳でもなんでもここまでの経緯を話しなさいよ!

ねぇ、結婚式まで二週間だよ?
本当なら二人で楽しみにしてその日を指折り数えてるはずじゃないの?

彼女がただの同僚で同情だけで寄り添うなら今すぐやめて。

そんな一時的なものは優しさじゃなく偽善だよ!

結局二人とも傷つけてる。

誰が大事かよく考えて…彼女のお母さんに話をしなよ?

このことは颯馬には言わない。

ずっと蓮のために作るケーキを楽しみにしてるから」