「結婚式って…もう入籍している奥さんがいらっしゃるの?」

「はい……」

「じゃあ朝陽は不倫しているっていうことよね?

それともその奥さんと離婚して朝陽と結婚するつもりなの!!」

怒りで肩を震わせながら声を荒げたお母さんは、大きく深呼吸して息をゆっくりと吐き出した。

「ふぅ……。

ここは病院だったわね…。

大きな声を出してごめんなさい。
この話は家に戻ってからゆっくりと朝陽と三人でしましょう。

蓮司くん、一緒に家にこのまま来てちょうだいね」

穏やかな口調が逆に、とんでもなく怒っていることをあらわしていた。

「はい…。

すみません、会社に情況説明の電話をしなければいけないので、電話が終わったら病院に戻ります」

頭を深々と下げる俺を見向きもせずにお母さんは病室の中に姿を消した。