「あぁ蓮。
今病室に顔出そうとしてたところだたの」

「愛美?あれっ?
家の病院で働いてるんじゃなかったのか?」

にこにこしながら立っていたのは、俺がウエディングケーキを頼んでいる高校からの友人晒名颯馬(さらしなそうま)の双子の妹、俺とも高校の同級生の晒名愛美(さらしなまなみ)だった。

「ここの救命救急医なの。

お昼に運ばれてきた患者さんの身内と一緒にいたから…もしかして奥さんのお父さんだった?」

「あっ…いやっちが……」

「もうすぐでしょ?結婚式…。
あれじゃ出席できないよね。
せっかくの娘さんの結婚式なのに可哀想…。

でも、ちらっとみたけどむちゃくちゃ美人じゃん!!

ほんと、蓮はメンクイだゎ…」

慌てて愛美の言葉を遮った。
このままだと、颯馬に伝わりややこしいことになる。

「いやまて、違うって!奥さんじゃない。
アイツは会社の同僚。
動揺してて一人でこさせるの心配でついてきただけだよ」

俺の否定した言葉に、愛美が眉を潜めて顔を強ばらせた。

「は!?
だって手ぇ繋いでなかった!?

執刀医の説明も家族だけなのに『娘の婚約者だから』って一緒に聞いてたよね?」

「「どういうことなの!!」」

愛美の声と誰かの声が重なった。

聞き覚えのある声に振り向くと、朝陽のお母さんが肩を震わせ怖い顔をして俺を睨み付けていた。