「お母さん!!」

手術室の側の待合室に、朝陽に目元がよく似た女性が座っていて、朝陽と一緒に入ってきた俺に頭を下げ、俺も慌てて頭を下げる。

「会社に電話しちゃってごめんね朝陽。驚かせちゃったわね」

お母さんの前で再び泣き出した朝陽をお母さんは、抱き締めて頭を撫でながら背中をさする。

「朝陽、お父さん大丈夫だから。
泣かなくて大丈夫だから。
大地がお父さんのこと守ってくれたから大丈夫よ」

「お兄ちゃんが守ってくれたの?」

「そうよ。
お父さん足を複雑骨折して手術してるの。
肋骨もひびが入ったけどあとは大丈夫だって。
だからまだまだ大地のところには行ったりしないから安心しなさい」

お母さんは朝陽の背中を小さな子供をあやすようにトントンとかるく叩き俺に目を向けた。

「お騒がせしてすみません。
仕事中なのにわざわざ一緒に来てくださってどうもありがとう」