呆然としている私の頭を竹内さんが優しく撫でた。

「香田さんは大丈夫たから。
何があっても信じてあげて。
さっ、中に入ろう。
昼飯買って会社にもどろう」

「はい…」

竹内さんに促されてとりあえずおにぎりをひとつだけ購入した。

食欲なんてまるでなかった。

朝陽さんのお父さんも気がかりたったが、それ以上に二人が気がかりで、自分で送り出したくせに、どす黒い感情が次々と?沸き上がり胸が苦しくて仕方がない。

隣を歩く竹内さんはうつむく私に優しく声をかけてきた。

「明莉ちゃん、なんで香田さんが人目もはばからず明莉ちゃんにやきもちやいたりベタベタするのかわかる?」
問いかけに小さく首をふると

「さっきも香田さんが言ってたけどわざと回りに見せつけてるんだよ。

明莉ちゃんに男が近づかないようにしているのはもちろんだけど、自分に女が近づかないように、明莉ちゃんが心配しないようにわざとあの人はやってるんだよ」

ようやく顔をあげて背の高い竹内さんを見上げると、そこには優しく微笑む竹内さんがいた。