力強く抱き締められて…わかってしまった……朝陽さんの気持ちが。

力強く私を抱き締め、背中に回された手が、微かに震えていて……

たぶん……それはきっと彼女と私の想いは同じで、仲良く手を繋ぎ頬を緩め優しく私を見つめる蓮司を目の当たりにして、ショックを受けて傷ついた。

そう、微かに感じた違和感は、私に向けた無理矢理作った笑顔。

繋がれた手を離してほしくて、蓮司と寄り添う私を見ていたくなくて、私を抱き締めた朝陽さん。

知りたくなかった彼女の気持ち。

それは嫉妬てはなく、諦めと絶望。

「ふふっ、話には聞いていたけど、蓮司が四六時中側に置いときたいっていうのよくわかるくらい、ほんとに可愛いいこ…。」

悲しげに揺れる瞳の中に、困ったような顔をしている私の姿がうつりこむ。

朝陽さんの手が優しく私の頭を撫でる。

私がわかってしまったように、彼女にも伝わってしまったんだろう。

私の不安な気持ちと彼女の気持ちを察してしまったことを。

身を縮ませている私をすかさず蓮司が自分のほうへ引き寄せた。

「はいはい、終了。
朝陽にも明莉は触らせないからな。

朝陽も竹内も仕事以外で明莉には近づくなよな?」

「えっ!?なんでよ蓮司!」

不満の声を朝陽さんがあげたときに、けたたましく竹内さんの携帯が鳴り響いた、