ピタリとつけられた椅子に座る朝陽の腕や肩が俺に触れていて、慌てて椅子を動かしてデスク前を朝陽に譲る。

「お前さぁ。
一応女なのわかってるよな?」

「ん?一応もなにも女でしょ」

「あのなぁ、距離が近いんだよ!
現場はヤローしかいないんだからもう少し意識して気を付けろ!」

「何言ってるの?
そんなこと今更言われなくてもわかってるよ。

私、蓮司以外には気を許してないから」

ムッとして俺を睨むと、べーっと舌を出した朝陽は俺の手にコーヒーカップを握らせた。

「ほら、飲んだ飲んだ。
いちいち細かいことにカリカリしすぎなんだよ!
少し休憩だよ蓮司は。その間私がやっとくから」

にっと笑い直ぐにパソコンに目を向けた。