「そうか。」
そう言ってとても優しく微笑みながら頭を撫でてくださる恭也さん。
同じベッドのなか、距離がとても近いので自分でも鼓動が早まるのがわかりますわ。
顔が、熱いですわ…。
「っ、そんな顔で見るなっ、」
恭也さんをジッと見上げていると、そう言われてしまいました。
私、変な顔をしていたのでしょうか…?
「す、すみません…」
「と、とにかくもう寝ろ。」
そうおっしゃる恭也さん。
もう少しお話ししていたかったですわ…。
「恭也さん、」
そう彼の名前を呼ぶと、ゆっくりと目を開けて私を優しい瞳で見てくださる恭也さん。
「恭也さん」
「なんだ?」
「恭也さん、恭也さん。」
「だからなんだ。」
「手を、握ってくださいませんか…?」
私がそう言うと、驚いたお顔をされる恭也さん。
「いや、でしたか?」
私がそう尋ねると、ふっと微笑んで優しく手を握ってくださる恭也さん。
「恭也さん、」
「なんだ、」
「私の、名前を呼んでくださいませんか?」
一度も私の名前を言ったことがない恭也さん。
恭也さんに「麗花」、と呼ばれてみたいですわ。