「親御さんが過保護なら、麗花さんを雅が丘女子学園に入れようとはしなかったんですか?」
瑠衣さんにそう聞かれて、
「ああ、私高校一年生まで雅が丘に通っていたんですよ。」
そう答えると、みなさんとても驚いていらしゃって。
「じゃあなんで転校したんだ?」
「実は私、高校一年生の時に階段から転落して記憶喪失になってしまいまして。
それで何故かは分からないのですが、そのあとお父様とお母様が引っ越して私を今の学校へと転校させたのです。」
そういえば、まだ全然記憶を取り戻せていませんわ。
相変わらずお母様とお父様は昔のこと話してくれませんし…。
「ね、ねえ、麗花ちゃんが記憶喪失になったのって、高1のいつ頃?」
やはりみなさんひどく驚いていらっしゃいます。
「冬ごろですかね。ですから私は高校一年生の冬より前のことは何も覚えていないのです。」
そう言うと、シン、となる空気。
「えっと、ごめんなさい、少し暗いお話しをしてしまって。」