車のなかから見えるのは、きらびやかな夜の街。
こんなに遅くまで外にいたのは初めてだわ。
はっ!!
お母様に連絡するのすっかり忘れていたわ!!
そして携帯をみると、お母様からの着信
56件。
こ、これは帰ってからたくさんお説教ですわね…。
「到着いたしました、麗花様。」
そう言って外を見ると、いつの間にか家に着いていました。
「…送ってくださって、ありがとうございました。」
「いえいえ、とんでもありません。」
ミラー越しに微笑んでくださる運転手さん。
「あの、運転手さんはお名前はなんというのですか?」
「私の名前ですか?」
少し驚いたようなお顔をされる運転手さん。
「私は四宮と申します。」
「四宮さん、ですか。送ってくださって、本当に助かりました。ありがとうございます。」
そう言って車を出れば、四宮さんは微笑んで会釈をされてから行ってしまった。
本当に色々なことがありましたわ、今日は。
この頃にはもう、運命の歯車が動き出していることに、
私は知る由もありませんでした。