「は?なんで他人行事なんだよ。つーかんなことで怒ってんじゃねーぞ。茉理、お前なんで何も言わずにおれらの前から姿を消した。どういうつもりだ。」
「ッ!!」
濃い藍色の瞳がメラメラと燃えているように見えるほど怒っているわ。
こ、怖いわ…。
「あ、あの、何か勘違いをなさっていると思うのですけど、」
「あ"?勘違い?なんのことだ」
「私、茉理ではありません。」
「は?」
「ですから、私の名前は『茉理』ではなく、高宮麗花です。」
そう伝えると、男の人はポカン、とたあと
「は?冗談だろ、おい。」
信じられない、という顔でこちらを見てくるその人の顔は、とても整っていて、
「おれの名前、なんだ。」
「…すみません。」
そう言った後の彼の顔は、
とても悲しげに見えました。