「おはよう、麗花。」
「おはようございます、お母様。」
朝起きると、朝食を用意しているお母様に挨拶をする。
私は高宮麗花。
ごく普通の高校生、と言いたいところだけど、少し特殊でして。
私は高校一年生の時に階段から転落して記憶喪失になってしまいまして、それより前の記憶は全くない無いのです。
起きたらお母様とお父様の顔も分からなくて、自分の名前もわからない状態でした。
それからはなぜかお母様とお父様が引っ越すと仰って、今住んでいる街に引っ越したのですが、ここでの暮らしもだんだん慣れてきましたわ。
「麗花、またテストで学年一位だったそうね!お母さん嬉しいわ〜。お父さんもドイツの出張から帰ってきたらまた三人でお食事に行きましょうね!」
そう言って朝から嬉しそうなお母様。
「はい!お父様が帰ってくるの、楽しみですわ。」
お父様は高宮グループという世界中でホテルなどを多く経営しているグループの社長で、いつも世界中を飛び回っていますの。
とても忙しいお方ですけど、帰ってくる時は必ず私たち家族に時間を作ってくださる方なのです。
「お母様、そろそろ行ってまいります。」
「あら、もうそんな時間?!麗花、行ってらっしゃい!」
笑顔で見送ってくださるお母様。
朝からとても幸せですわ。