「橘く〜んっ!」
ゴールデンウィークを目前に迎えたある日。
朝から橘くんを発見した私はご機嫌で彼を追いかける。
振り向いた橘くんには嫌な顔されたんだけど…。
「おはようっ!」
「おはようございます」
朝から無表情と不機嫌を足して2で割ったような顔してるけど、橘くんと学校に行けるチャンスを逃すわけには行かない。
家が近いから通学路も同じはずなんだけど、なぜか橘くんとは会ったことなかった。
と、思ったらこんな早い時間に出てるなんて。
今日は気分が良かったからいつもより15分も早く家を出たのだ。
「いつもこの時間なの?」
「ん、まあ、大体」
「じゃあ私もこれからこの時間にしようかな〜」
…真横であからさまに最悪、とでもいいそうな顔をした橘くんのことは、気づかないフリだ。