「なんだか、カレカノみたいだね」
えへへっと笑って橘くんを見るけど、
「調子、乗らないでください」
橘くんはいつも通り。
やっぱり冷たい。
でも、手はずっと繋いだままで。
ときどきぎゅって強く握ると、びっくりする橘くんが可愛くて、たわいもない話をしていたら、あっという間に私の家まで着いた。
「わざわざ送ってくれてありがとう」
私、今が最近で1番笑えてるんだろうなぁ、なんて、鏡を見なくても分かるくらい幸せだ。
「いえ、近いので」
「気をつけて帰ってね」
「はい」
「あと…」
帰り際は不機嫌さはいなくなってて、いつもの無表情の橘くん。
やっぱり微笑んですらくれないけど、橘くんと話せて、今日は手まで繋げたんだから、文句なし!
「手、繋いでくれてありがとう!」
ニコニコ笑ったまま橘くんに言った。
「わざわざそんなこといわなくても……じゃあ」
「うん!また明日!」
また明日、会えますように。
なんて心の中で唱えてみた。