「じゃあ恋人つなぎしませんか?」
「…恋人じゃないのに?」
「ゔ……。」
馬鹿ですね、とでもいいたげな視線を送らないで!
そこの橘くん!
こうなったら仕方ない。
「じゃあ、…手、つなご?」
どんどんレベルを下げていくことで、橘くんが私の誘いに乗りやすくなるんじゃないかなって思って。
橘くんの顔を覗き込んでみる。
そこにはいつも通り無表情。
というか、嫌だっていうことが伝わるオーラだけが広がっていて。
…いいじゃんか、手くらい…。
「それって絶対ですか?」
「んーん、嫌なら大丈夫…」
「じゃあ嫌です」
「…そうだよね」
そんなさっぱり言うことないのに、橘くんったら厳しい。