「じゃあ、俺はこれで」
用が済んだ橘くんは、そそくさと私の元から離れようとする。
あからさまに私のことが嫌いってオーラ出さなくてもさ、もう分かってるよって笑いたくなっちゃうくらい。
「橘くん」
そんな自分のことを嫌ってる相手のシャツの袖を引いて引き止めてしまう私も私だ。
笑っちゃう。
「好きだよ、今日も。だーいすき」
「…」
「ごめんね、引き止めて。授業がんばれ」
無反応な橘くんにも。
その無反応に慣れちゃった私にも。
なんだか笑えてきちゃう。
今日は朝から橘くんが私に会いにきてくれた。
それだけで、なにもかもこんなに楽しいなんて、私の頭はいかれてるんだきっと。