彼は幸せになるべき人間なのだ。

ちゃんと…、私以外の人と。


でも彼の過去がそれを邪魔して、彼は今では女嫌いのイケメンとしてこの学校で有名になっている。




「先輩?どうかしました?」




なにも話さなくなった私を不思議に思ったのか、橘くんが問いかける。




「なんもないよ!…心配してくれてありがとう」




私がそう言うと、橘くんは分かりやすく顔をしかめる。

ほんとうに、橘くんって嫌な表情だけに特化してる。

でもそれすらもかっこいいとか、イケメンってずるいなぁ。




「別に…先輩がどう思おうが、どうだっていいです」




安定に塩対応というか、冷徹というか…。

でも、そんな橘くんでもやっぱり好きだなぁ、私。