ノートに書かれた手紙を読み終わる。
 すると、紙にポタポタと涙の粒が落ちてきて、空澄は泣いている事に気づいた。
 彼が魔女になった事や死ぬ時をわかっていたのが何故なのか。そして、希海を知っている事
 そんな事を考えられるはずはなかった。
 彼の手紙は、自分への愛に満ちていたのだ。

 彼は死ぬまでずっと自分の事を思っていたのだろう。そして、一人になるのを心配していたのかもしれない。泣き虫の空澄を知っているから。

 彼の願いを叶えてあげられなかった。
 それでも、自分の気持ちに嘘はつけなかった。それは仕方がない事なのかもしれない。
 けれど、涙が溢れてくるのだ。

 最近は忙しいことで涙を流す暇もなかった。いや、忙しくしている事で彼の事を考えないようにしていたのかもしれない。


 「ありがとう………璃真。私も、あなたが大好きで大切だったよ。幼馴染みになれて幸せだった」


 空澄はノートを抱きしめながら、空から見ているであろう璃真に伝えた。


 「……璃真が心配しちゃうから。もう泣かないよ。私は大丈夫だからね」


 泣きながら笑うだなんて、きっと酷い顔をしているだろう。
 けれど、それでも璃真に笑顔を見せたかった。
 「大丈夫。だから、ゆっくりしてね」と、空澄は伝えたかったのだ。