秀介とマイケルさんが日本語で言ったことを、僕はホームズに伝える。

「レストレード警部。死亡推定時刻と発見された時間をもう一度、教えろ」

「死亡推定時刻は、午前9時。発見された時間は、午前11時です」

「殺害されてから2時間もあるのに、なぜ裏は殴り書きになっている?」

「……そうか!文を書くのに苦戦してたんだ!……でも――」

僕が持つ手紙を取り、ホームズは「この紙は、このパーティー参加者全員がもらうメモ帳だそうだ」と言った。

「それに、秀介たちが持っている案内用紙を見る限り、このメモ帳はパーティーが始まる8時半に渡すプレゼントとだと分かる」

ホームズは、どこからともなく案内用紙を取り出して、一文を指さした。

「パーティー開始と同時に、メモ帳をプレゼントいたします……」

僕は、その文を読み上げる。ホームズは、怪しげに笑った。何か考えているな……。

「そして、もう1つは、その逆にわざと日本語で書いて、罪から逃れようとしたかのどちらかだ。レストレード警部。遺体は動かして居ないだろうな?現場を見たい」

「あ、あぁ……分かった。ホームズ、ワトソンくん。こっちだよ」

レストレード警部とホームズの後をつき、僕は部屋に入る。その部屋には、女性が倒れていた。

「……死因は、窒息か?」

遺体を観察し、ホームズは言う。レストレード警部は「そうだよ」とうなずいた。