その日の夜だった。

「あの、今日の夜、何か予定あります?」

二つ年下の新人くん。他の部署から転任してきた。

「特に用事はないけど」

 私より少し背の高い、ほっそりとした華奢なタイプの男の子。

「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

 仕事のことかと尋ねたら、違うと首を振るので、じゃあ終わってからねと返事をした。

「突然ですいません」

 まっかな顔をして、そそくさと立ち去るから、なんだかこっちも恥ずかしくなる。

彼が転任してきてから半年、ずっとめんどうをみてきた。

少しぼーっとしてて頼りないけど、憎めないかわいらしさと愛嬌がある。

よく出来た弟みたいで……ちょっといいなって、思ってた。